「まずは、謝罪」の法的リスクを考えてみる。

「まずは、謝罪を」

クレームや不祥事が発生したときの対応で、謝罪するということは、大切なこと。
このことは、様々な事例からもわかっているという人も多いかと思います。

この謝罪について、文書を作成する場合の留意点を考えてみたいと思います。

不祥事対応を誤ると、企業イメージのダウンだけではなく、必要以上にトラブルが拡大するかもしれません。

クレーム対応への文書作成において、まず目的は何か?をはっきりとさせておきましょう。
文書の目的は「お詫びと信頼の回復」や「怒りを和らげる」ということになるでしょう。

 

謝罪の文書を作成する際には、目的に合わせて言葉選びを慎重に丁寧にということだけでは足りません。目的に合わせて、何を書くか?も重要です。

具体的には、「何について謝罪をするのか?」「何が問題であったのか?」「会社の責任」「損害の賠償や返金について」「今後の対応策」といったことです。

例えば、「何について謝罪するのか?」については、自社に法的な責任がないというケース(苦情対応)を考えてみます。

 

この場合、「文書を作成する目的は何か?」ということを考えると、「法的な責任(契約違反など)を認めて謝罪しその後の対応について述べて信頼の回復に努める」ということではありません。「苦情を受け止めて、怒りを和らげる」ということになるでしょう。

 

とすると、法的責任があるかないか?という点を曖昧にしたり、法的責任を認めるような文書とすると返金や損害賠償という話になりかねません。

 

逆に、法的責任はないのだからと「言い訳」を並べるということも、お客様の心情を害することにつながります。さらに、規約や法律論を記載するとさらに炎上ということにもつながりかねません。

 

何について謝罪するのか?を明確にした文書を作成することで、怒りを和らげつつ、返金等はできないことを伝えるということになります。

「謝罪する点は何か?」「法的な根拠などは主張を控える」「お客様の意見を取り入れる姿勢を示しつつサービスには問題がなかったこと(法的には問題ない)を示す」ということを書くことが重要になるでしょう。

「まずは謝罪」ということは、不祥事対応では重要なことです。ただ、その文書の内容によっては、さらに企業イメージの低下につながっていくことににも注意が必要ですね。