契約トラブルを防ぐための視点

1 基本的なルール
新規事業展開も契約を締結して動き出した。けど…中途解約の際のトラブル対応策は?

 

契約トラブルの問題点は「合意した契約の内容に従って欲しい」という点から考えるとわかりやすくなります。例えば、中途解約で「違約金が高額だから払わない!」というときに「違約金を支払わなければならない」となるかどうかです。

契約書に記載があるからと言って、必ずその通りになるとは限りません。

BtoCのビジネスであれば、契約の仕方いかんにより、消費者契約法や特定商取引法などのルールで契約書の効力が認められないケースも。また、BtoBビジネスでも民法などにより効力が否定されることもあります。

 

<法律で契約の効力を否定される例>

事業者が不当な勧誘をして、消費者が誤認

不当な契約条項がある場合、その条項が無効となる

※通信販売などは特定商取引法が特別なルールを定めている。

※BtoBの契約でも、同様の理由を示してくることも考えられる。

2 個別対応で十分か?

 

契約トラブルが発生すると、個別対応(返品、修理、交換など)により解決も可能ということもあるでしょう。個別対応により解決することで、法律を意識せずに問題を解決できるといえばいえます。

 

個別対応のほうが、柔軟な対応で解決することができ、法的な問題ということまで意識することがないかもしれません

 

ただ、法制度の変化(訴訟しやす環境への変化)、契約意識の変化(企業に対する要求の変化)、社会的な変化(情報発信力の拡大)に個別対応では追いつかないケースも想定されます。


特に社会的な変化については要注意です。契約当事者がSNSなどによる情報発信力があることです。以前は、個別対応に配慮すればよかったかもしれません。しかし、トラブル発生が情報発信力により、拡散されれば、企業イメージを著しく悪化させる危険性があるということです。

また、契約意識の変化では、「良かれ」と思って行ったサービスが、「当然」と受け止められて、過大にサービスを要求するということも。この場合、どこまでサービスとして提供すべきか?という課題もでてきます。

3 実務対応を考える

 

個別対応で対処して解決するということが、悪いわけではありません。ただ、社会的な背景を踏まえると、個別対応では不十分な場合も想定しておかなければなりません。

実務レベルでは、交渉時・条項・個別トラブルの3つの視点で対応を図ることが大切になります。

 

例えば、交渉時では「不当な勧誘」「不当な表示」ということがきっかけに争いが生じてきます。とすると、パンフレットやHPの記載や販売マニュアルなどに問題がないか?をチェックするとよいでしょう。

あわせて、契約書の条項にも不当なものがないか?サービスの提供範囲の明確化など、サービスの見直しも求められるでしょう。

 

まずは、「マニュアル」「パンフレット」「契約書」の3点を法的な観点を加味して検討しながら、現場レベルの声を反映した改訂を行うことをおすすめします。

 

これによって、「まさか!」を防ぐことにつながり、より安心したビジネスが行えるようになってくるはずです。